大企業であれば複数人で行う業務を、効率化をすすめながら一人でこなすのは大変…(汗)
今回は、管理業務をしていて実感した「存在価値をアピール」できる資格について話します。
といっても、取得の難易度と専門性が高い資格ではなく、いろんな業種の会社に共通して必要で、かつ難易度の低い資格についてです。
何か資格を取るために調べると「一生使える」「稼げる」「独立しやすい」など魅力的な言葉を目にしますが、それらは業種が特定されたもので、難易度が高く取得のための時間もかかるものです。
当然それらの資格を取得するために努力することは素晴らしいことですが、超難関な専門性の高いものは、進学進路の時点からその専門職を目指す必要があったりします。
しかし、限られた時間を有効に使って資格を取りたい、できれば広い業種で必要とされ、短期間で取得できる資格はないかと考える方もいると思います。
オススメする資格は、高収入に直接つながるものではありませんが、一生使えることに変わりはなく、社内のステップアップのきっかけや、就職活動のアピールポイントになり得るものです。
決して的外れなものではありません。
ここでは、会社が業務上遵守すべき法律に基づく、需要のある資格について経験を踏まえてまとめました。
資格取得で迷っている方は是非参考にしてください。
資格の難易度とおすすめの理由
資格取得の難易度
働く上で必要となる資格は様々ありますが、弁護士などの「資格」=「職業」の場合、難易度が上がります。
職業に直結する資格を目指す人の多くは、高校・大学・専門学校などの教育課程から進路を決定しています。
一方、業種に直結していても取得のハードルが低い資格や、業種に直結していなくてもどの会社でも必要とされる資格があります。
それらは、仕事をしている社会人や就学中の学生でも、空き時間に効率よく学習することで、短期間で取得できるものです。
業務を通じて、実際に私が取得した資格を紹介していきます。
おすすめの理由
どの会社にも管理業務があります。
その中には、法律によって定められた有資格者を管理者として届け出たうえで、その職務にあたらせなければならない業務があります。
もちろん、会社として担当者に資格を取らせて選任しますが、複数人必要だったり、選任者が退職したりする可能性があるので、持っていると重宝される資格があります。
特に「専門性の高いスキル、突出した経験値が無いけど何か資格を取りたい」と考えている方にもオススメです。
使い所の多いスキルで、比較的容易に取得が可能な資格を探している方は参考にしてください。
おすすめの資格 4選
ざっくりした解説、詳細解説、種類、要件(受験できる条件)、受験料、日程、試験内容、試験対策
の順でまとめました。
衛生管理者
■ざっくり解説
衛生管理者は50人以上の労働者がいる職場における任命が労働安全衛生法で義務付けられた資格で、労働環境における衛生状態に関し職場の衛生全般の管理を行います。
よって、国家資格のなかでも、多くの職場において最も関わり合いのある資格と言えます。
■詳細解説
選任人数は、労働者の人数が増えるに従って下記の通り増えます。
- 50人~200人は1名
- 201人~500人は2名
- 501人~1,000人は3名
- 1,001人~2,000人は4名
- 2,001人~3,000人は5名
- 3,001人以上は6名
■資格の種類
衛生管理者資格には、第一種と第二種があり、資格の有効期限がないので一生有効な資格となります。
また、人体に有害が及ぶ業務と関連の少ない業種でのみ有効な第二種に対し、第一種はあらゆる業種の職場で有効なため、今後の雇用機会を狙って資格取得するなら、第一種を目指したほうが良いため、ここでは第一種を解説していきます。
■資格要件
学歴と労働衛生実務経験により受験資格は細かく定義されていて、学歴と労働衛生実務経験の確認のため、卒業証明書や事業者証明書の提出が必要となります。
必要な実務経験年数を最終学歴で分類すると、中学校以下の場合は10年、高等学校の場合は3年以上で、高等専門学校・大学の場合は1年以上となります。
よって、この資格は在職中の会社員が対象です。
■受験料
6,800円(第1種・第2種とも)
■試験日程
第一種衛生管理者試験は毎月数回開催され、安全衛生技術試験協会ホームページで確認できます。
■試験内容
試験の科目は労働衛生、関係法令、労働生理の3つで、労働衛生と関係法令は有害業務とそれ以外のものの2つに分かれるため、全部で5科目となります。
出題は、労働衛生(有害業務)が10問、労働衛生(それ以外の業務)が7問、関係法令(有害業務)が10問、関係法令(それ以外の業務)が7問、労働生理が10問となっています。
合格の基準は、各科目の正解率が40%以上かつ全体で60%以上です。
■試験対策
以前は講習会に参加しテキストで学び、過去問を入手して勉強しましたが、今はオンライン教材が使えたり、ネットで過去問も探せるので、それらを利用して効率的に独学できます。色々手を出すより、一つの教材で繰り返し学ぶことをオススメします。
危険物取扱者乙4
■ざっくり解説
可燃性・引火性の高い危険物等を取り扱う事業所は、その種類に応じた危険物取扱者を選任し、消防署に届け出る義務があります。
危険物は様々な種類に分けられますが、取得者は、免状を取得した類の危険物についての取扱い、立合いができるようになります。
中でも「乙4」と言われる「危険物取扱者乙種第4類」はガソリンや灯油など身近な石油類が対象なので、複数ある危険物取扱者試験の中でも多くの仕事に直結し需要の高い資格となっています。
■詳細解説
危険物取扱者とは消防法で定められている、可燃性・引火性の高い危険物等を取り扱うために必要となる国家資格です。
一定数量以上の危険物を貯蔵、又は取り扱う施設は、事業主が危険物取扱者を任命し常駐させなければなりません。
■資格の種類
危険物取扱者の資格には大きく分けて甲種・乙種・丙種の三種類あり、それぞれの資格で取扱い、立合いができる危険物の種類が違ってきます。
更に危険物は第1類から第6類まで6つの類に分類され、それぞれに資格があり、ここでは通称乙4と呼ばれる第4類危険物の乙種資格について解説します。
(取扱者の任命が必要となる条件)
乙種第4類危険物の取扱所が対象で、中でもガソリンや灯油を扱うメーカーは勿論、その運搬業や販売業、重油の地下所蔵所を有する施設等では必須の資格となっています。
■資格要件
乙種は受験資格や年齢に制限なく誰でも取得可能です。
試験日程も月に数多く行われているため、他の国家資格よりも短期間で資格取得が可能です。
また、これはガソリンスタンドのアルバイトにも使える資格です。
■受験料
受験手数料4,600円、免状交付費用2,900円です。
■試験日程
各都道府県により日程が異なります。消防試験研究センターのサイトで調べられます。
■試験内容
- 危険物に関する法令(15問)
- 基礎的な物理学及び基礎的な化学(10問)
- 危険物の性質並びに火災予防及び消火の方法(10問)
上記を5肢択一のマークシートで回答し、各科目とも60%以上の正解で合格となります。
■試験対策
乙4の資格自体はオンライン教材や書籍購入にて独学で十分合格できる資格になっています。
勉強法としては教材をもとにノートをとり、暗記が必要なところは語呂合わせで覚える感じです。
ポイントは法令を最後にし、過去に出題された法令の出題傾向をチェックすることです。
防火管理者
■ざっくり解説
防火管理者とは、火事を未然に防ぐための管理をする者を指し、消防計画を作成し計画的に管理する責任者のことです。(防火管理者の職務について)
消防法の定めでは、不特定多数の人が集まる各種施設などで選任が義務付けられていて、建物の所有者等の管理権限をもつ者が任命します。
とはいえ、施設の収容人数や面積に応じて防火管理者の登録の必要がない場合もあります。
■詳細解説と資格の種類
防火管理者には「甲種」と「乙種」の2種類があります。
甲種の取得者は乙種の資格も有しますが、乙種の取得者が甲種の資格を得るためには、甲種の講習を改めて受講しなくてはならないので注意が必要です。
(甲種防火管理者の選任が必要となる条件)
- 不特定の人が出入りし、収容人員が30人以上、かつ延べ床面積が300㎡以上の建物
- 特定の人が出入りし、収容人員が50人以上、かつ延べ床面積が500㎡以上の建物
- 特別養護老人ホームや福祉施設で、延べ床面積に関係なく収容人員が10人以上の建物
(乙種防火管理者の選任が必要となる条件)
- 収容人数が甲種と同様、かつ延べ床面積が甲種未満のテナント等
■資格要件
受験資格は、中学校卒業程度以上で日本語を理解できるのが条件です。
ただし、大学、短期大学、高等専門学校で防災に関する学科や課程を修めて卒業したもので、1年以上防火管理の実務経験を有する者、もしくは一定の学識経験がある者であれば試験は免除されます。
- 市町村の消防職員で、管理的又は監督的な職に1年以上あった者
- 労働安全衛生法第11条第1項に規定する安全管理者として選任された者
- 防火対象物点検資格者講習の課程を修了し、免状の交付を受けている者
- 危険物保安監督者として選任された者で、甲種危険物取扱者免状の交付を受けている者
- 鉱山保安法第22条第3項の規定により保安管理者又は保安統括者として選任された者
- 国若しくは都道府県の消防の事務に従事する職員で、1年以上管理的又は監督的な職にあった者
- 警察官又はこれに準ずる警察職員で、3年以上管理的又は監督的な職にあった者
- 建築主事又は一級建築士の資格を有する者で、1年以上防火管理の実務経験を有する者
- 市町村の消防団員で、3年以上管理的又は監督的な職にあった者
■受講料
甲種は7,500円(再講習は6,500円)、乙種は6,500円です。
■講習日程
甲種は10時間(2日)、乙種は5時間(1日)かかり、日程は各都道府県により異なります。
■講習内容
- 防火管理の意義及び制度、火気管理、施設・設備の維持管理
- 防火管理に係る訓練及び教育、消防計画など
■試験対策
講習後の試験はありますが、真面目に受講すればまず落ちることはないでしょう。
点数が悪くても資格が認められないことはありません。
でも、出来なかった所は帰って復讐しましょう。
フォークリフト(1t以上)
■解説
正確にはフォークリフト運転技能者といい、最大荷重1トン以上のフォークリフトの運転免許です。事務というより現場作業者に必要となる資格ですが、持っていて損はありません。
事実、私は毎日使ってます。物流や製造業でニーズがあり手当が出る会社もあります。
また、資格を取っても運転に従事している限り、5年に1度の講習をうける務めがあります。
■資格要件
18歳以上
■受講料
所持免許がない場合は45,000円くらい
自動車免許所有者は40,000円くらい
自動車免許所有者かつ1トン未満のフォークリフトの運転経験が3ヶ月以上(事業主の証明書が必要)ある者は15,000円くらい
■講習日程
受講機関(都道府県労働局長登録教習機関)により異なる。原則は35時間。
■講習内容
講習と実技、及びそれぞれの試験がある。
- 走行に関する構造と取り扱い
- 荷役に関する構造と取り扱い
- 力学に関する知識
- 関係法令
- 実技は走行と荷役の操作
■試験対策
講義と実技そして試験が続けて行われます。
講義と実技を集中して習い、試験に臨みましょう。
ちなみに、こんなものもあります。
安全運転管理者
■ざっくり解説
道路交通法には「5台以上の社用車または定員11名以上の社用車を所有している会社の使用者は、安全運転管理者を選任し公安委員会に届けなさい。管理者は年1回の講習を受け安全運転管理に努めなさい。」という制度があります。
ただし、運転代行業については営業所ごとに管理者が必要となります。
■詳細解説と資格の種類
使用者は、安全運転管理者等を選任または解任したときは、選任した日から15日以内に、所定の事項を自動車の使用の本拠の位置を管轄する公安委員会に届け出なければなりません。
また、選任管理者に公安委員会が行う講習(法定講習)を毎年受けさせなければなりません。
安全運転管理者は法定講習に則り、危険防止と安全確保のため計画・指導を行い、使用者はその権限を管理者に与えなければなりません。
(安全運転管理者の選任が必要となる条件)
- 定員11人以上の自動車を1台以上使用している事業所
- その他の自動車を5台以上使用している事業所
- 自動車運転代行業者については、営業所ごとに選任が必要
■資格要件
- 20歳以上(副を置く事業所にあっては30歳以上)
- 運転管理実務経験2年以上
- 過去2年間以内に一定の違反行為をしていない者
(副安全運転管理者の選任が必要となる条件)
20台以上の自動車を使用している事業所は20台ごとに1人を選任
■資格要件
- 20歳以上
- 運転管理実務経験1年以上で運転経験3年以上
- 過去2年以内に一定の交通違反をしていない者
一定の交通違反とは...
- 無免許運転
- 最高速度違反
- 酒酔い・酒気帯び運転
- 麻薬等運転、過労運転
- 無資格運転
- 積載制限違反
- 放置駐車違反
■受講料
安全運転管理者は4,500円、副安全運転管理者は3,000円の受講料がかかります。
■試験日程
事業主から選任してもらい公安委員会に届け出る必要がありますが、試験はありません。
その後、年1回届く公安委員会の通知に従い、法定講習を受ければOKです。
① 衛生管理者
② 危険物取扱者乙4
③ 防火管理者
④ フォークリフト
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